ポリフェノール

〈前置き〉
ポリフェノールは、一般的には植物由来の抗酸化物質であると言われ、赤ワインやチョコレートに含まれていることが知られています。植物の苦みや色素の成分となっており、各植物の細胞の働きを助け、外敵からの攻撃や紫外線によって起きてしまう酸化を防ぐ役割を担っています。

ポリフェノールをより詳細に説明すると、分子内に2個以上のフェノール性水酸基をもつ天然有機化合物の総称です。多くの植物が含有しており、その種類は5000種以上にも及びます。その構造の違いによって、フラボノイド類、フェニルプロパノイド類、タンニン類などに分けられます。その中でもフラボノイド類は最も種類が多く、4000種以上の化合物が発見されています。フラボノイドとは、ベンゼン環2個を3個の炭素原子でつないだジフェニルプロパン構造を有する化合物の総称であり、カテキン、、タンニン、ルチン、フラボン、フラボノール、イソフラボン、フラバン、フラバノール、フラバノン、フラバノノール、カルコン、アントシアニジンなどに分類されます。

各成分でうたわれている効果
・カテキン 
ワイン、茶、リンゴ、ブルーベリーに多く含まれる。殺菌作用を始め、血中コレステロールを低下させたり、高血圧を予防したりといった効果がある。

・アントシアニン
ブドウの実皮やムラサキイモ、ブルーベリー、などの赤紫色をした植物体に多く含まれている色素成分。肝機能の向上を助け、疲れ目の解消などにも効果的といわれる。

・プロアントシアニジン
アカシア樹皮抽出物、ブドウ種子抽出物、松樹皮抽出物、ワイン

・タンニン
茶、赤ワイン、柿、バナナなどに含まれる渋味成分。カテキン同様、殺菌効果がある。
ルチン - ビタミンPの一種で、ソバに含まれる。

・イソフラボン
大豆や大豆加工商品(豆腐、納豆など)、葛、葛粉などに含まれる。エストロゲンと同様の働きをするため、アンチエイジングなどの視点から着目されている。

〈7種のポリフェノール成分〉
・内容量:90カプセル
・1日の摂取量:1~2カプセル
・含有成分:赤ワイン抽出物・ムラサキイモ抽出物・ヤーコン抽出物・緑茶抽出物・トマトリコピン・紅茶抽出物・モロヘイヤ抽出物

ここでは代表的なポリフェノールであるフラボノイドについて示しました。
フラボノイドには抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、コレステロール低下作用、発がん抑制 作用、抗腫瘍作用、抗潰瘍作用など様々な機能性が報告がされています。 その中でも、フラボノイドの抗酸化作用につ いては広く知られています。フラボノイドは電子あるいは水素ラジカルを供与できるフェノール 性水酸基をもっており、スーパーオキシド、ヒ ドロキシラジカル、脂質ペルオキシラジカルなどの酸素ラジカルを捕捉消去することができる。さらに、フラボノイドは生体内脂質化酸化反応に関与する一重項酸素の捕捉、金属イオンのキレート、およびリポキシゲナーゼの阻害などの作用もあるため、複数の作用点をもつ多機能型抗酸化剤です。
近年注目されている抗アレルギー作用を示すフラボノイドとしてはシソ種子、セロリ、パセリなどに多く含まれるルテオリンやアピゲニンは、好塩基球が B 細胞のIgE抗体産生細胞への分化を促すために必須なIL-4や IL-13と CD40リガンドの発現を抑制する。さらに、シソ種子にはルテオリン、アピゲニン以外に、クリソエリオールというフラボノイドも含まれており、ヒスタミンの遊離抑制作用も認められることから、食品中では、これらの成分が複合して抗アレルギー作用を示していると考えらます。トマトに含まれるナリンゲニンカルコンは、その多くが果皮に存在していたす。果皮に60%エタノールを加え、60°Cで 2 時間抽出することで得られたナリンゲニンカルコンをI型アレルギーモデルマウスに経口投与した実験では、耳介浮腫を投与量依存的に抑制したと発表されている研究もあります。また、アレルギー性喘息モデルマウスを用いた実験では、Th2サイトカインの産生を抑制し、アレル ギー性喘息による気道の炎症を抑制したという報告もあります。タマネギやケールなどに多く含まれているケルセチンは、IgE 抗体の結合やイオノフォアの 添加によって活性化された好塩基球において、CD63や CD203cの発現やヒスタミンの放出を抑制することから、細胞内のシグナル伝達になんらかの影響を与え、脱顆粒を抑制しているものと考えられています。 緑茶に含まれるカテキンについては、ラット腹腔内のマスト細胞を用いた実験でヒスタミン遊離抑制効果が認められ、RBL-2H3細胞や HeLa 細胞を用いた実験においては、IL-4やヒスタミン H1レセプター
(H1R)の mRNA の発現を抑制することも報告されています。

《総括》
ポリフェノールの体内への吸収率は、例えば、緑茶のカテキン100mg を経口的に摂取した場合に、1~2 時間後の血中濃度は140~230ng/mlになるとの報告があります(吸収率は 1%に満たない)。これは、他の抗酸化物質として知られるα-トコフェロール(ビタミン E)の 100 分の 1、 アスコルビン酸(ビタミン C)の 500 分の 1 程度である。この吸収率からみると、抗酸化作用という点ではカテキンは体内ではビタミンCやEよりは吸収率が低いためサプリメントとして濃度の高いものを摂取するということが良いのかもしれません。

どのような種類のポリフェノールをどれくらい摂れば健康維持に効果があるのか(あるいは全く摂らなくても大丈夫なのか)、 一概にはっきりといえるような数値や研究結果はありません。さらに、ポリフェノールは、普段の食生活で、野菜や果物を摂取すれば、同時に必ず摂取できる物質である。加えて、ポリフェノールが多く含まれるといわれ、人気となった赤ワインはアルコール量が、チョコレ ートはエネルギーがそれぞれ高めであるため、食品として摂りすぎには注意が必要である。 健康維持のためには各種栄養素やビタミン、ミネラルを食品からバランス良く摂りいれる ことが最も大切であり、ポリフェノールだけを抜き出して摂取することの意義は低いのかもしれません。


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